第 3421 号2014.08.17
「 夏の予感 」
松島 彩(埼玉県ふじみ野市)
君と出会ったのは夏の日だった
ゆらめく池をきらきらと反射する、太陽の光
公園のボードにのって、僕はゆっくりすすむ
ゆらゆら…ゆらゆらと
水にたゆたう水蓮に伸ばした君の腕の白さが、今も目に焼きついて離れない
「きれいだ」
思わずつぶやいた僕の一言に頬を赤く染め、うつむいた君
長い黒髪が風にふかれてなびいた
日が落ちてからお祭りに出かけた
浴衣に着替えた君は、和太鼓の音にせかされるように走っていく
迷子にならないように僕はしっかりとその手をつかんだ
金魚をとってくれと、君はせがんだけれど不器用な僕は一匹もとれずに、ポイの紙が破けてしまったね
そんな僕に、今年はこれでいいと水色のヨーヨーをみせて笑ってくれた
もうすぐ君とすごす二回目の夏がやってくる
窓を開け、吹き込んだ夏の風を感じて僕はそっと目を閉じた