第 3408 号2014.05.18
「 思いがけない贈り物 」
小林 こ幸(山梨県南都留郡富士河口湖町)
先日十年前の私から手紙が届いた。
十年前、私が住む村が市町村合併し、町へとなった記念行事の中に、未来の自分や家族へ手紙を書こうといった趣旨の企画があったことを思い出す。文面は全く思い出せず、わくわくしながら手紙を開いた。十年後の私の健康のこと、仕事のこと、身なりまで詳しく予想されていた。
十年前の私はなかなか予想が上手だったらしく、ほとんど正解であった。
当時四才だった娘へ宛てた手紙も入っていた。私は読まずに、十四才になった娘に手渡し、声を出して読んでもらった。当時の娘の様子、日常会話のやり取り、将来の夢など当時身近だった話題が数枚に渡り書かれていた。四才だった娘は、悪いことをすると、周りから「お母さんがおばあちゃんになっちゃうよ」と言われると、すぐさまおとなしく言うことを聞いたらしい。二人で笑った。「覚えてる?何故おばあちゃんになってほしくなかったの?」と尋ねると、「覚えてはいないけど、きっとおばあちゃん=死んじゃうと思っていたと思う」との返答。なるほどだった。
日常では、食器洗い、お風呂洗いをしていてくれたことも書かれており感心させられた。お手伝いはこの頃がピークだったのかもしれない。
何はともあれ、元気に生きてこの手紙を受け取れたことはうれしかった。そして、手紙を読み終わった娘が「お母さん、わたしのこと本当に優しく育ててくれていたんだね」と言ってくれたことは全くの予想外であり、心が温かくなるのを感じた。
素敵な贈り物をありがとう。